「寝る前のスマホはやめた方がいい」
そう聞いたことがある人は多いと思います。でも、わかっていても、布団の中でついスマホを触ってしまう——そんな方も少なくないのではないでしょうか。
今回は、なぜスマホが睡眠に影響すると言われているのか、その仕組みを整理しながら、無理なく取り入れられる対策まで解説していきます。
以前の記事「なぜ布団に入っても眠れないのか?体内時計と睡眠圧の科学」で触れた「体内時計」の仕組みが、今回の話の土台になります。まだ読んでいない方は、先にそちらに目を通していただくと理解がスムーズです。
ブルーライトが体内時計に影響すると言われる理由
前回の記事で解説した通り、私たちの体内時計は、朝に光を浴びることでリセットされ、そこから約14〜16時間後に眠気が強まるようにできていると考えられています。
この「光を浴びる」という仕組みは、本来は太陽の光を想定したものです。ところが、スマホやパソコンの画面が発する光——特にブルーライトと呼ばれる青色系の光——は、太陽光に近い波長を含んでいるため、体が「まだ昼間だ」と誤って認識してしまう可能性があると言われています。
その結果、以下のようなことが起こり得ると考えられています。
- 本来分泌されるはずのメラトニン(眠気を促すホルモン)の分泌が抑制される
- 体内時計が後ろ倒しになり、寝つきたい時間になっても眠気が来にくくなる
これが、「寝る前のスマホは良くない」と言われる主な理由です。
スマホだけが原因ではない、という視点
ここで一つ大切な視点を加えておきます。就寝前のスマホが睡眠に影響する要因は、実はブルーライトだけではないと考えられています。
- 情報・感情への刺激:SNSやニュース、動画などのコンテンツは脳を興奮させやすく、リラックスモードへの切り替えを妨げる可能性があります
- 画面を見続ける姿勢:仰向けやうつ伏せで画面を長時間見続ける姿勢が、首や肩の緊張につながることもあります(後述)
- 「あと少しだけ」が引き起こす就寝時刻の後ろ倒し:単純に、スマホに時間を使うことで、本来眠るべき時刻そのものが遅くなってしまうケースも多いです
つまり、「ブルーライトさえ避ければ大丈夫」というわけではなく、光・脳の興奮・姿勢・時間管理が複合的に関わっていると捉えた方が実態に近いと言えます。
柔道整復師の視点:スマホ姿勢と首・肩への影響
ここからは、施術現場での視点を加えます。
布団やベッドの中でスマホを見るとき、多くの方が首を前に倒した姿勢、いわゆる「うつむき姿勢」を長時間続けています。この姿勢は、頭の重さを支える首・肩まわりの筋肉に持続的な負担をかけやすいと考えられています。
さらに、横向きで片肘をついてスマホを見る姿勢は、片側の肩や首だけに負担が偏りやすく、施術の場でも「スマホを見る体勢がいつも同じ」という方に、左右差のあるこり・張りが見られることがあります。
これは臨床上の傾向であり、すべての方に当てはまるわけではありませんが、「スマホをやめられないなら、せめて姿勢だけでも見直す」という選択肢は、体への負担を減らす一つの手段になり得ます。慢性的な首・肩の痛みが続く場合は、自己判断だけで抱え込まず、専門家に相談することも検討してみてください。
今日からできる、無理のない対策
「スマホを完全にやめる」のはハードルが高いという方も多いと思います。まずは以下のような、負担の少ない工夫から始めてみてください。
- 画面の明るさを下げる、ナイトモード(暖色系表示)を使う:多くのスマホに標準搭載されている機能で、手軽に始められます
- 見る姿勢を変える:うつむき姿勢を続けるより、枕やクッションで画面を目線の高さに近づけるだけでも、首への負担は変わってきます
- 就寝時刻の30分前にアラームをセットする:「あと少しだけ」を防ぐための、時間管理としての工夫です
すべてを一度に実践する必要はありません。できそうなものから一つずつ試してみるだけでも、体感は変わってくるはずです。
これまでの記事「なぜ布団に入っても眠れないのか」「昼寝は”悪”じゃない」「寝具が原因かもしれない3つのサイン」も、あわせて読むことで睡眠と体のケアへの理解がより深まります。Instagram(@sui_sleep_care)では、こうした内容をより手軽な図解でも紹介しています。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の症状の診断や治療を目的としたものではありません。症状が続く場合や気になる場合は、医療機関への相談をご検討ください。


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