布団に入って目を閉じても、頭が冴えて眠れない。 やっと眠れたと思っても、夜中に何度も目が覚めてしまう。
「疲れているはずなのに眠れない」という悩みは、実はとてもシンプルな2つの仕組みの乱れから起きていることがほとんどです。
今回は、Instagram(@sui_sleep_care)の投稿では紹介しきれない「眠りの仕組み」を、柔道整復師としての臨床経験も交えながら、じっくり解説していきます。
睡眠を左右する2つの仕組み
私たちの眠気は、大きく分けて2つの仕組みによってコントロールされていると考えられています。
① 体内時計(概日リズム)
体には約24時間周期のリズムがあり、朝に光を浴びることでリセットされ、その約14〜16時間後に眠気が強まるようにできています。
このリズムを作る中心的な役割を担っているのが、脳の視床下部にある「視交叉上核」という部位だと言われています。ここが光の情報を受け取り、体温やホルモン分泌のリズムを調整しています。
つまり、「何時に寝るか」よりも「何時に朝の光を浴びたか」の方が、実は眠気のタイミングに大きく影響していると考えられているのです。
② 睡眠圧(睡眠欲求)
もう一つが「睡眠圧」と呼ばれる仕組みです。起きている時間が長くなるほど、脳内にアデノシンという物質が蓄積し、眠気として感じられるようになると考えられています。
朝起きてからの時間が長ければ長いほど睡眠圧は高まり、眠りにつきやすくなります。逆に、日中の長い昼寝はこの睡眠圧を一時的に下げてしまうため、夜の寝つきが悪くなる原因になり得ます。
体内時計(いつ眠くなるか)× 睡眠圧(どれだけ眠くなるか)
この2つが噛み合ったときに、私たちはスムーズに眠りにつけるようになっています。
なぜ現代人はこの2つが崩れやすいのか
理屈としてはシンプルなこの仕組みですが、現代の生活習慣は、これらを乱す要因に満ちています。
- 就寝前のスマートフォン・PC画面:ブルーライトを含む強い光を浴びることで、体内時計が「まだ昼間だ」と誤認しやすくなると考えられています
- 不規則な起床時間:休日の寝だめは、体内時計のリズムを翌週にずらしてしまう可能性が指摘されています(いわゆる「社会的ジェットラグ」)
- 日中の活動量不足:デスクワーク中心の生活では体温リズムの振れ幅が小さくなりやすく、夜間の入眠のスイッチが入りにくくなることがあります
- 長すぎる・遅すぎる昼寝:15時以降の昼寝や30分を超える昼寝は、睡眠圧を必要以上に下げてしまう可能性があります
これらはどれも「眠る力」そのものが弱いわけではなく、仕組みが噛み合うタイミングがずれているだけ、というケースが多いのです。
柔道整復師の視点:体のこりと自律神経の関係
ここからは、10年間で1万件以上の施術に携わってきた柔道整復師としての視点を加えます。
睡眠の相談を受ける方の多くに共通しているのが、肩や首まわりの慢性的な緊張です。
肩・首まわりの筋肉が緊張した状態が続くと、交感神経が優位な状態から切り替わりにくくなり、体が「休息モード」に入りづらくなっている、というケースを臨床の場でよく見てきました。これはあくまで臨床上の傾向であり、すべての不眠の原因が肩こりにあるというわけではありませんが、「布団に入ってもなんとなく体がこわばっている感覚がある」という方には、日中の姿勢や筋緊張を見直すことが睡眠の質改善の一つの選択肢になり得ます。
不眠が続く場合や、日常生活に支障が出るほどの症状がある場合は、自己判断だけで抱え込まず、医療機関への相談も選択肢に入れていただくことをおすすめします。
今日からできる、整え方の第一歩
仕組みが分かったところで、今日から実践できることを3つだけ挙げます。
- 起きたらまずカーテンを開ける:光を浴びるタイミングを一定にすることで、体内時計のズレを最小限にできます
- 昼寝は15時までに20分以内:睡眠圧を大きく削らない範囲にとどめます
- 就寝1時間前は画面から意識的に距離を取る:難しければ、せめて画面の明るさを落とすだけでも変化を感じやすくなります
Instagram(@sui_sleep_care)では、こうした「今日からできる整え方」をイラストと図解でより手軽に紹介しています。今回のような仕組みの部分をもう少し詳しく知りたくなったときに、またこのnoteに戻ってきていただければと思います。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の症状の診断や治療を目的としたものではありません。症状が続く場合や気になる場合は、医療機関への相談をご検討ください。


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